# 現代DJ概算学総論

# 冷たい雨の日の物語

 袖で額の汗を拭って、男は息をついた。
 年末だからと気合を入れて掃除をしたのだが、少し張り切りすぎたらしい。おかげで男の部屋は人が住むにしてはひどく殺風景な様相を呈していた。

――それにしたって捨てすぎじゃない?

 細身で長髪の女、男は"君"と呼んでいる、が微笑みながら言った。君はいつもその微笑みを浮かべ、男のすることを口を出さずに見守っている。もっとも、結果如何では文句を言うことも少なくないが。

「どうせいらないものだからいいでしょ?」

 男はぶっきらぼうに言って、残り少なかった粉を全て使ってコーヒーを淹れた。君がコーヒー好きだから、という理由でコーヒーを飲み始めたが、男には今一つ美味しさが理解できなかった。

――雨、降ってきたみたいね。

 君がそう言うので窓の方を見ると、確かに窓には少しの水滴がついていた。天気予報を見ると、どうやらこれから雨足が強くなるらしい。
 
「参ったな……」
 
 男は眉間にしわを寄せ、頭を掻いた。今まで使っていた傘は古くなったので今回の大掃除で捨ててしまったのだ。

――出かける予定でもあるの?

「……これから、ちょっとね」
 
 不思議と予定を変える気は起きなかった。
 
 きっと雨は冷たいのだろう、男は風呂に入って体を温めてから出かけることにした。男はシャンプーとボディソープが切れかけていたことを思い出し、ついでにそれも使い切ろうと思った。
 
 男はあまり身だしなみに気を遣わないし、自分でもセンスに優れているとは思っていなかった。以前、せめて最低限の格好はしなさいよ、と君に言われたことを思い出し、男はなるべくおしゃれな格好をした。

「どうせこれから濡れるのにな」

 男は自嘲気味に笑った。
 
 窓を開けて見ると、さっきより雨が強くなっているようだ。これ以上雨が強くなる前に、と男が玄関に向かおうとすると、後ろから君の声が聞こえた。

――どこ行くの?





「……君に逢いに」

 男は写真立てを伏せて家を出た。 


 
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# 福袋

福袋2個買ったので開封した画像を載せる。
手ブレとかピンボケとか修正する気力はなかった。
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